「さざれ」は、小さい・細かいという意味の古いことば。さざれ波、さざれ貝、さざれ枝と同じ使い方です。 だから「さざれ石」も、はじめはひとつの石の名前ではなく、小さな石を指すふつうの名詞でした。
いまも、そう呼ばれる石は各地にあります。岩の種類もまるで違います。 この台帳は、どれが歌の石かを決めません。 伝わってきた話と、調べられたことと、行政が記したことを、混ぜずに、出典をつけて並べます。
海岸線は実測の地図データ(Natural Earth)から起こし、紙をちぎった線に崩しています。点はおおよその位置。
小さな石が集まって、ひとつの巌になる。
これは比喩ではなく、実際に起きていることです。
伊吹山の石灰岩が谷に崩れて大小の角礫になり、石灰分をふくんだ地下水がそれを固める。 礫が固まって礫岩になる——「さざれ石が巌となる」のとおりのことが、地面の下で起きています。 ただし、そう呼ばれる石の岩質は、場所によってまるで違います。
岐阜・揖斐川町。第四紀。伊吹山の石灰岩が固まったもの。
京都・嵯峨野ほか。三畳紀〜ジュラ紀の大洋底の堆積物。
広島・福王寺。海底火山の浅い山腹でできたもの。
滋賀・姉川ほか。愛好家が呼ぶもの。堆積岩から変成岩まで。
この台帳の、ひとつだけの約束。
混ぜれば濁り、重ねれば光ります。だから、三つの欄は同じ紙の上に置きますが、決して溶かしません。
伝承
土地に伝わる話。「〜と伝わる」と書きます。誰が、いつから語っているかを添えます。
学術
論文と地質。著者・書名・年・頁をかならず添えます。異説があれば、異説も置きます。
行政
指定と碑。「碑にこう刻まれている」という事実として書きます。それ以上は書きません。
まだ現地に行けていないものは、写真の枠を空けたまま「行っていない」と出します。隠しません。
さざれ石 —いしの、いし。—
名は、授かるもの。忘れても消えず、真心にしたがったとき還ってくる。 小さな石は、最後まで強くなりません。弱いまま、守れる形になります。
まだ載っていないさざれ石を、
教えてください。
近所の神社に、庭に、川原に。あなたが知っている一つが、この台帳の十八番目になります。 場所と、聞いている話と、できれば写真を。出典は、こちらで調べます。