In plain words
君が代を、やさしいことばで言うと
むずかしい語は、たった五つです。そこだけ置きかえれば、歌はほとんど読めます。
むずかしいのは、この五つだけ。
君
あなた。敬って呼ぶときの言い方です。
代
その人が生きているあいだ、治めているあいだ。
さざれ
小さい、細かい。
巌
いわお。大きな岩。
むす
生える。苔が「むす」。
これだけ分かれば、あとはそのまま読めます。
つなげると、こうなります。
あなたの世が、千年も八千年も続きますように。小さな石が集まって大きな岩になり、その岩に苔が生えるまで。
小石が岩になるには、気の遠くなる時間がかかります。その岩に苔が生えるには、さらに時間がかかります。時間の長さを、二段重ねで言っている——それがこの歌の作りです。
子どもに話すなら。
「小さな石ころが、ゆっくりゆっくり集まって、大きな岩になるくらい長いあいだ、元気でいてね」。もとは人の長生きを祝う歌でした。『古今和歌集』では、お祝いの歌を集めた部に入っています。
「君」がだれを指すかは、時代によって説明が変わってきました。その移り変わりは別の頁にまとめてあります。
なぜ、そのままでは分かりにくいのか。
古いことば
「さざれ」「巌」「むす」。どれもいまは使いません。意味を知らないと、絵が浮かびません。
主語がない
だれが千年続くのか、文のうえには書かれていません。「君が代は」とあるだけです。
結びがない
「苔のむすまで」で終わります。「〜ますように」にあたる語がありません。祈りの部分が言葉になっていないので、何を言いたいのか分かりにくくなります。
よくある読み違い、三つ。
さざれ石
岩石の名前だと思われがちですが、ただ「小さな石」という意味です。花崗岩や玄武岩のような岩石名ではありません。
むす
「蒸す」ではありません。苔が生えるの「生す」です。
代
「世代」ではなく、その人が生きているあいだ・治めているあいだです。
この三つが分かると、歌は急に短くなります。小さな石が大きな岩になり、苔が生えるまで。それだけのことを言っています。
Sources
出典
- ・『古今和歌集』巻第七 賀歌(題しらず・読人しらず)
- ・国旗及び国歌に関する法律(平成十一年法律第百二十七号)別記第二