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Why it feels solemn

君が代は、なぜ重く聞こえるのか

「暗い」「怖い」と言われます。歌詞は長寿を祝う歌なのに、です。理由は作りのほうにあります。

まず、歌詞のほうを確かめておきます。『古今和歌集』でこの歌は賀歌——お祝いの歌の部——の冒頭にあります。内容は、祝いです。それでも重く聞こえるのなら、理由は別のところにあります。

一つめ ── 音階。

いまの旋律は、1880年に宮内省雅楽課の伶人長・林広守のものが当選したものです。雅楽の伶人が作りました。西洋音楽の長調・短調の枠で作られた旋律ではありません。

長調なら明るい、短調なら暗い——その聞き分けに慣れた耳には、どちらでもない音階は「暗いほう」に寄せて聞こえます。暗く作られているのではなく、明るい側の目印が無いのです。

そこにドイツ人エッケルトが西洋の四声体和声をつけました。雅楽の旋律に西洋の和声という組み合わせも、どちらとも言いにくい響きの一因です。

二つめ ── 歌詞が言い切りで終わる。

「苔のむすまで」。そこで終わります。「〜ますように」にあたる語がありません。祈りの部分が、言葉にならずに置かれています。

結びが無いので、聞いた側は宙に残されます。祝っているのか、何かを願っているのか、言い切られていない。この静けさが、重さとして受け取られます。

三つめ ── 速度。

三十二音を、一分近くかけて歌います。一音あたりが長い。速い国歌が多いなかで、これは目立ちます。行進のための歌ではなく、式のための歌として置かれているためです。

そして、記憶。

1893年から学校の儀式の歌になり、戦前・戦中を通って歌われました。歌そのものとは別に、歌われた場の記憶が重なっています。何が重いのかは、人によって違います。この台帳は、そこには立ち入りません。

音楽の説明は、音階と和声と速度という作りの話までです。どう聞こえるべきかは述べません。

Sources

出典

  • ・『古今和歌集』巻第七 賀歌 三四三番(賀歌の部に収められていること)
  • ・「君が代」『日本大百科全書』ほか(コトバンク所収)
  • ・海上自衛隊東京音楽隊「君が代について」
  • ・文部省告示「祝日大祭日歌詞並楽譜」1893(明治26)年

つづきの問い

君が代の曲は、だれがどう作ったのか

君が代は、どういう意味の歌か

君が代を歌わない、起立しないという話