The 1903 contest
君が代は国歌コンクールで一等を取ったのか
この話には、出どころの本と、それを探した図書館の記録の両方が残っています。両方を並べます。
どういう話か。
明治三十六年(1903年)、ドイツで世界国歌コンクールが開かれ、君が代が一等になった——という話です。よく引かれます。
出どころの本は、分かっています。
『日本の唱歌(上)』(講談社文庫)の九ページに、この記述があります。出どころが特定できている点で、出どころの分からない説とは違います。
そして、探した記録も残っています。
国立国会図書館のレファレンス協同データベースに、神奈川県立図書館の調査が登録されています。問いは「『日本の唱歌(上)』講談社文庫九ページに記載があるが、詳しいことを知りたい」。
ご質問の世界国歌コンクールに
関連のありそうな記述は
いくつか見つかりましたが、
コンクールについて、
詳しい記載のある資料は
見つけられませんでした。
関連のありそうな記述は
いくつか見つかりましたが、
コンクールについて、
詳しい記載のある資料は
見つけられませんでした。
神奈川県立図書館/レファレンス協同データベース(事例作成 2015年12月24日・登録 2016年2月24日)
当たった資料は六点、挙げられています。『君が代史料集成 第一巻』/『日本国国歌正説』/『国歌君が代の研究』/『明治音楽物語』/『日本音楽』/『講談社日本人名大辞典』。
君が代の史料を集めた本と、君が代そのものを研究した本を含む六点を当たって、コンクールの詳しい記載は見つからなかった。これは「無かった」という証明ではありません。けれども「探したが見つからなかった」という記録そのものが、一つの事実です。
この台帳の立場。
一等を取っていないとも、この台帳は言いません。言えるのは次の二つです。出どころの本は特定できる。そして、専門の資料を当たった図書館は、詳しい記載を見つけられなかった。
明治三十六年は、日清戦争に勝ったあと、日露戦争の直前です。国の歌に順位がついたという話が広まりやすい時期だった、とは言えます。ただしそれは説の出どころを示すものではなく、推測です。
Sources
出典
- ・国立国会図書館 レファレンス協同データベース ── 神奈川県立図書館の事例(管理番号 1000188482)
- ・『日本の唱歌(上)』講談社文庫 九ページ(上記事例の質問に引かれたもの)
- ・一般社団法人 国歌の輪「君が代神話」